「次世代電子顕微鏡法」社会連携講座

東京大学大学院工学系研究科長からのメッセージ

柴田教授

現代社会の直面する問題が、差別や貧困、気候変動、社会の超高齢化など複雑さと困難さを増している中、大学はその問題解決に向けたビジョンを形成し、より良い未来社会の構築を先導する責任を担っています。工学は、基礎科学から科学技術全般、社会課題の解決までを取り扱う広範な学問体系です。探究によって得た工学分野の総合知を活用して社会実装につなげるために、大学と社会は従来の役割に固執せず、同じゴールを共有して緊密な協力関係を築くことが重要です。次世代電子顕微鏡法社会連携講座は、最先端電子顕微鏡分野における社会連携を強化し、本分野の研究・教育活動を通じて広く社会に貢献することを目的として設立されました。ナノテク・材料分野の研究開発を通じて社会課題の解決に貢献するとともに、高度な専門性と社会との接点を有する優れた人材の育成を目指しています。東京大学大学院工学系研究科は、国際的に卓越した電子顕微鏡法を通じて、社会変革を先導し、世界の公共に奉仕します。

東京大学大学院工学系研究科長
染谷 隆夫

次世代電子顕微鏡法社会連携講座からのメッセージ

柴田教授

世界規模の課題が山積する人類社会において、科学技術イノベーションに対する期待と要求はますます高まっています。最先端の電子顕微鏡法は、ナノテクノロジー・材料、量子技術、医療・創薬などの科学技術分野において、今や必要不可欠な研究手法となっています。本社会連携講座では、東京大学と日本電子株式会社の有する電子顕微鏡研究及び教育ノウハウを結集し、次世代電子顕微鏡法の開発研究及び人材育成を通じて電子顕微鏡分野の新時代を切り拓き、科学技術分野のさらなる発展に貢献することを目指しています。日本における電子顕微鏡の歴史は古く、その技術力は今やお家芸と言われるまでになりました。本講座では、これまでの技術をさらに大きく超える新しい電子顕微鏡研究の未来像を世界に先駆けて追求して参ります。本講座によって新たな次世代電子顕微鏡法および気鋭の若手研究者・技術者が育まれ、社会喫緊の課題解決や人類社会の健全な発展に資することができれば望外の喜びです。どうぞ、本講座に対しまして、温かいご指導、ご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

東京大学大学院工学系研究科
特任教授
柴田 直哉


幾原教授

東京大学・日本電子産学連携室が2005年6月に設立されて以降、本連携室を起点として、収差補正装置を搭載した走査透過電子顕微鏡を我が国で最初に導入し、引き続き軽元素の原子分解能直接観察法、無磁場電子顕微鏡の開発、世界最高分解能の達成など、電子顕微鏡分野において大きなブレークスルーを先導してまいりました。このような状況下、本分野における我が国の優位性・発展性を維持するために、同分野の教育、研究者の育成が必要不可欠との強い要望が日増しに増えつつあります。そこで、本分野の人材育成、教育を推進する場として、この度“次世代電子顕微鏡法社会連携講座”を発足致しました。本講座では、最先端電子顕微鏡分野における大学院生・社会人の教育、高度専門人材の育成、最先端電子顕微鏡に関するセミナー・講演会の開催などを推進します。その際、東京大学・日本電子産学連携室とも連動して運用し、社会課題解決に向けた次世代電子顕微鏡法の研究と教育を効果的に進めて行きますので、ご支援・ご鞭撻のほどどうぞ宜しくお願い申し上げます。

東京大学大学院工学系研究科
特任教授
幾原 雄一